Web備忘録

雑多に書いています

「革命前夜」(須賀 しのぶ)を読んだ

革命前夜 (文春文庫)

革命前夜 (文春文庫)

本屋にふらっと立ち寄ったとき、入り口でおすすめされていて、あらすじと最初5ページぐらいを読み、面白そうだと思って手に取りました。 ネタバレはなしで感想書いてきます。

内容

バブル絶頂期の日本を離れ、東ドイツに渡った一人の日本人留学生。住民が互いに監視しあう灰色の町で彼が出会ったのは、暗さのなかから生まれる、焔のような音楽だった。冷戦下のドイツを舞台に、日本人音楽家の成長を描く歴史エンターテイメント。

感想

海外が舞台の小説はその国の空気を味わえるから好きです。この小説も、舞台が1990年前後(ベルリンの壁崩壊前後)の東ドイツということで、当時の人々の様子を味わえる感じがして面白かったですね。

内容としては、序盤はちょっと事件が少ない感じがしてまったりしてるように感じました。中盤はかなり引きがありましたね、(ニナちゃんのあたりからだっけな)。 終盤については、正直事件が起きすぎていて、エンタメに振ったなーと感じました。個人的にはもうちょっと控えめでよかったかな。

最後、主人公がどうなっていくかはもうちょっと見たかったなー…という気も。一連の出来事を踏まえた上での、彼の考え方の変遷自体を強く追っていく形にはならなかったため、そこが不満点という感じです。

読んでいて、18世紀のロンドンが舞台の「開かせていただき光栄です」(皆川 博子)を思い出しました。あれも当時のロンドンの空気を味わえて面白かったなあ。

ただ全体的には、よい読書体験でした。